鉄騎の戦闘疲れが日常生活を蝕みつつある日々を乗り切る5月中旬の現実逃避日記。

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5/11
 夏みたいな陽気。帰宅すると軽い熱気で部屋がむっとしていたので網戸なんかにしてみる。室温はいい感じになってきたが食後まもなく大きな銀蝿が飛ぶようになった。どっから入ったんだろう。
 そのまま無視してヒロターズから借りた『小さなお茶会』を寝床で読んでいたのだが、まるで遊んでくれと言わんばかりに部屋の中を飛び回る。どうにも鬱陶しいので以前購入した蝿取り棒を蝿の止まりそうなちゃぶ台においてみる。しかしこの蝿ときたらご丁寧にも、棒のかなり下側の粘着剤がついてないところに止まってくれる。やるじゃないかこいつ! 諦めて本腰入れて最終的にティッシュで捕獲したのだが、先ほどの蝿取り棒の避け具合にはいたく感心した私は「敵ながらあっぱれ」と外へ逃がしてやることにした。
 今夜は気温が体力を奪ったのか鉄騎をしていても交戦中に壁に体当たりするとか凡ミスをするので早めに戦闘を抜けた。しかし戻ってきてからつい新薬投入により元気生活を送り始めた8spotsとチャットしてたりHPの更新作業やっていたら3時、さらに寝る前に明日捨てる新聞が閉じていて3時半。こんな生活してるからいつまで経ってもへろへろなんだ。

5/12・おくやみ
 おもむろに開いた朝刊のおくやみ欄で岡崎律子の名前を見て、そりゃ驚かないほうがおかしい。享年44歳。ご冥福をお祈りします。
 彼女が作詞・作曲・歌を担当した『フルーツパスケット』のOPを初めて聴いた時はこりゃまたなんて儚い歌だろう、と思ったけど番組見てるとそれがまた合ってたんだよな。「とてもうれしかったよ 君が笑いかけてた すべてを溶かす微笑みで〜」、今日は歩きながらついつい口ずさんでしまう。ただしうる覚えなので「たとえば苦しい今日だとしても昨日の傷を残していても・何故なの教会の一番(後ろの席に〜)」と途中で歌が変化していることにすぐにはわからない(えっと、これは確かシュガーの「ウェディングベル」だ)。だから気が付くと最後は「くたばっちまえ、アーメン!」……っておいおいしゃれになってない。
 さて、今日は会社の社内引越しであった。社内の話と言ってもビル内の別の階へと移動するのでそれなりに骨が折れる作業である。自分の荷物の数もかなりのものだが出張中の仲間の荷物なんかも代理で運んだりして、資料本山積みのダンボール箱持ち上げたら腕が攣りそうになった。なんでこうしょっちゅうこういうことがあるのか。明日はきっとまた腕と肩が筋肉痛なんだろう。
 夜はヒロターズの誘いに乗って飲みに行くが、今日初めて入った居酒屋の名物がおにぎりにそば。炭水化物に目が無いヒロターズとそりゃ食べてみないとねと言って頼んだのだが、当たり前だがあっという間にお腹いっぱいになり、結果として酒量が減った。
 鉄騎は私の回線不調もあり今日はお休み。このゲームは戦争であるからして想像以上に神経を使う。動体視力とかも。さらに緊張のせいで体も強張るので体力も結構使う。おかげで一晩お休みするだけでずいぶん脳や体が休まることになる。いいのか、それで。

5/13
 会社のあるビルを出てすぐ雨が降ってきた。駅までは3分だがみるみる雨は大降りに。たまたま一緒にいたぎどさんが「傘入りますか?」と言ってくれたのだが大きくない彼女の体のサイズぴったりの折り畳み傘はどうみても私が割り込むには小さすぎた。相合傘は諦めそのまま濡れて歩いてるうちに雨は激しさを増し、そして駅前で止んだ。「これで駅を出たときにまた雨降って来たらそれが俺の人生と思うことにする」と呟いたら、隣で「人生……」と囁かれた。
 覚悟を決めて臨んだ降車駅では雨はほとんど降ってなかった。私の勝利だ。
 帰宅後「こんなものケチャップの蓋と同じだ」と今にも言い出しそうな羽佐間声のブロディ署長による新吹き替え版『ジョーズ』と、BSデジタルの『月光の囁き』をザッピングしながら観つつ夕食、そして鉄騎。
 昨日あった回線不良が今日はさらに悪化しており、自分の回線状況を示すアイコンであるアンテナは昨日の1本から圏外になっていて大いに焦る(通常は3本)。幸い問題は自分で部屋作ったときだけで、KENの立てた部屋では特に問題無くプレイできたので一安心。でもなんでだろ。なお今日=新ターン開始時は私とKENは勝率が上がるのがジンクスだったのだが今日は全敗で終わった。

5/14
 GW返上で働いたKENは今日で仕事が一区切りついたそうだ。一方私はその逆で、月末へ向けてのラストスパート中。今日も会議であまり自分の仕事はできなかったので、できるだけ残業しておくかと思ったところで同僚から内線。チームに入った新人歓迎飲み会に行くとのこと。わーい私も行く! というわけで会社を去る。場末の居酒屋で今年の数少ない新人にいろいろ聞いてるうち雲丹さんと2人懐かし話モードとなり盛り上がる。10年も歴史を持つとは私も歳を取りました。飲み会は大部分が雲丹さんの奢りとなる。雲丹さん、課長っぽいです! 雲丹さんほどの社歴は無いものの私は万年ヒラなので普通に奢られる。このままヒラヒラでどこまで行くのか。多分ずっと。

5/15・DVD10枚CD3枚パンフ29冊
 幸先は悪かった。
 せっかく早起きして歯医者に行ったのに、作って貰った詰め物が上手く合わない。結局やり直しとなった上に待ち時間を含め2時間近くの時間を消費し、『新選組!』の再放送を見損なってしまった。がっかりして病院を去る。
 今日はまず、売ってる本屋を探すのに毎回大変苦労する8spotsの師匠の本が本日発売なので捜索。今回は2軒目で確保。よかった。
 安心して自転車をいつものフリマへと進めるが、これが今日の幸せな時間となった。
 例によっていつものDVD売りのおじさんが笑顔で出迎えてくれる。今日はいくつか新作が入っていて、「『ブラックホーク・ダウン』コレクターズボックス」の特典ディスク2とかを発見。『スカイ・ハイ』は一度も観た事がないのに気がつけば第1シーズンをコンプリートしてしまった。
 今日も私がDVDを端から丹念に漁っているとおじさんが「暑いだろ? 飲みなよ!」と冷えた缶コーヒーを差し出した。もうすっかり仲良しである。結局9枚を選ぶと、「いいよ、やるよ」とかまた言い出す。流石に2度目は申し訳ないので1000円で納得してもらう。儲ける気全然ないのかな。
 DVDを確保して、続いて他のお店を見て回る。興味深いアイテムとしてはグリコの「ゲームセンターあらし」のミニビーチボール(多分お菓子の店頭用の飾りと思われる)を500円で購入。アニメ化の時のものらしいが絵は原作のものだ。
 そして広場の外れまで来て、またしても素敵なものに出会った。古い映画パンフの山だ。どれもかなり状態は悪いのだが、物が珍しい。私が小学生以下の時代の映画がほとんどで、ビデオやTVでしか観てない作品のパンフばかり。私にとっては宝の山だ。選んだ末に買ったのは以下のもの。
 『カサンドラ・クロス』(ジョージ・P・コストマス)、『コンボイ』(サム・ペキンパー)、『アウトランド』(ピーター・ハイアムス)、『ミッドナイト・エクスプレス』(アラン・パーカー)、『ディア・ハンター』(マイケル・チミノ)、『ローラーボール』(ノーマン・ジュイソンの旧版のほう)などの佳作群、ホラーだけでも『サスペリア2』『シャイニング』『ハウリング』『処刑教室』『テンタクルズ』『グレートハンティング』、コメディは『ケンタッキー・フライド・ムービー』(初演版)、『ピンク・パンサー4』『クロコダイルダンディー』『D.C.キャブ』『名探偵再登場』『スタークレイジー』、さらにマイケル・ホイだけでも『Mr.BOO!』の1作目、『ギャンブル大将』、『アヒルの警備保障』(名タイトルだよなあ)、そして『キャノンボール』。ついでにHP素材用に使えるかと思って『グレムリン』『ロッキー』『ランボー3』『アイアンイーグル』『少林寺』、そしてなぜか『セーラー服と機関銃』『野性の証明』まで。以上全29冊3700円。明らかに買い過ぎ。
 はちきれそうな鞄を担いで帰宅して、早速買ってきたDVDを観る。まずは『TRICK』のAVパロディ『YRICK』。メッセンジャーで(家で保養中の)KENに解説しながら結局最後まで見たが、タイトルに負けずかなり力の入ったパロディビデオであった。ほとんどエロシーンは皆無の上、たまにあっても全然やる気がないのがおかしい。エロシーン"だけ"早送りするAVなんて初めてだ。しかもラストは唐突に『セブン』になるし(しかも石原がブラピ役じゃけえ)、なんか作ってる人たちがとっても楽しそうです。これは今度KENに譲るから楽しみにしていてくれ(ただし、笑えるだけでAVとしての価値はゼロです)
 続いて『宇野亜喜良・華麗なメタモルフォシス』。宇野亜喜良の60年代中期の実験映画作品集である。全盛期のイラストで「空飛ぶモンティパイソン」のテリー・ギリアムより5年先駆けているシュールなアニメーション描写とかあったりして非常に興味深い1本だ。
 さらに続けて『警部補・古畑任三郎』1巻。中森明菜が犯人をやる第1話を初めて見たが、去年末の最新作と全然雰囲気が変わってなくてある意味凄いシリーズだ。
最後にこれはフリマでも別のところで買ってきた『スパロボα』特典ディスク(100円)を見てJASRACに苦言を呟きつつ、アーケードカード用PCエンジン版『龍虎の拳』 (100円)をミニコンポで聴きながらこうして日記を書いております。
 こんなマニアックなものばかり売ってるフリマが本当にあるのかって? あるんですよこれが。ビバ・東京。
まごうことなき大散財

5/16・狂読観察日記
 実家に帰ろうと思った日はまあ大概雨だ。雨が降ってなくても帰る時は雨になる。
 そんな雨男の私が久しぶりに実家に帰るにあたり、今日は強力な助っ人を招くことにした。ゆっきさんに次ぐスタンド(ウェザーリポート)使いのヒロターズである。
 今日は彼女に実家にある蔵書を見せてあげる約束をしたのであった。うちの実家は親の仕事柄、一部の人には喜んでもらえる偏った蔵書がそれなりにある。
 ともかくおかげで今日は天気予報で雨と言われても出かける頃には止んでいたし、もちろん傘なんか持っていかないのである。

 昨日深夜まで飲んでいたというヒロターズは眠そうだったが、実家にあがったときの時の反応は私の予想を越えるものであった。彼女は5時間ほどの滞在時間のうち、30分は猫を撫で、30分は食事をし、残り4時間を読書に費やした。
 父の出してきた脚立で天井際にある筒井康隆の初期の作品集を数冊抱えては降り居間で読み耽る。そしてまたその本を返しては次の本を読む。
「この装丁で読むの初めてです」
「これ昔何遍も読みました。懐かしい」
 と言いながら結局端から端まで20冊近くの筒井を流し読みしていた。時折、
「そうそう! この話! 最高です」
「この辺の書き方ってかなり影響受けてますね、私」
 と私のところへ本を見せに来るときに笑顔を見せる以外はもうずーっと視線は本。途中ケーキとお茶を出しても、夕飯の支度ができてもすぐには立ち上がらない。いや立ち上がれないのだ。まさに本にとりつかれたというか図書館に来た子供のようである。
 暫くして彼女は、うちにある20冊程度の筒井のハードカバーを一通り読み終えてしまったようで、別の本棚へと移動した。今度は角川文庫の「ポケットジョーク」などこれまた特異な本を見つけた。
「これは私が日記に書いてた本ですよ。でもここには私の知らないのがある!」
 と言うと何冊か両手に抱え先ほどの定位置へ戻る。目を本に移すとまた部屋に静寂が戻った。
 もし彼女をこの家に泊めてあげたらきっと一週間くらいはこうやって一睡もせずに読み耽るのではないか。

 我々が夕食を終えた頃、ライブ鑑賞から戻ってきた父が多数の友達を連れて帰ってきた。彼女が読書スペースにしていたところもたちまち宴会場となったため、少し早いがきりもいいので帰ることにした。ヒロターズは東海林さだおや澁澤龍彦などの食関係の文庫本を借りることにすると、嬉しそうに鞄から取り出したスヌーピーの紙袋に詰めた。袋には最後に父が彼女へのおみやげに渡した、読売ホールで行われた全冷中のイベントチラシを入れた。
 帰りの電車でヒロターズは再び緊張の糸が解けたようで「今日は目が疲れました」と言うとそのまま寝てしまった。
 空席の目立つ夜の電車に揺られながら私は、こんなに長い間彼女と静かな時間を過ごしたのは初めてではないかと、新鮮な体験をしたことに感慨深いものを感じていた。
 自分の終着駅へ付くと外は小雨が降っていた。

5/17・考えすぎ
 信号機故障でダイヤが乱れまくりの電車での帰り道。ヒロターズに誘われ夕食にパスタ屋へ寄る。
 店に入ると今日も映画のビデオが流れていた。金髪の女が映る。キム・キャトラル? また『マネキン』か。いやでもシリアスっぽい雰囲気だし、海辺だし……『マスカレード 甘い罠』かしら。でもこれロブ・ロウじゃないマット・ディロンだな。髭面のマット・ディロンをカラーで見られる映画ってなんだっけ……。
 席についてからも頭が映画マニアモードとなり一人で悩む私に「メリーがどうとかって言ってたから『メリーに首ったけ』じゃないんですか?」とヒロターズ。近視で字幕が読めないのにヒアリングで一歩リード。(流石は「国際」と名の付く大学出てるだけはある)
 でもあの映画ってこんなシリアスな雰囲気あるの? と思いながらよくみたらキム・キャトラルじゃなくて確かにキャメロン・ディアスだ。そこへナーズっぽい男が化粧台の前で自慰行為を始める。ああ、間違いない。ああ、昔は裸見せてたんだー、ということでそんなメジャーな映画すら観てない私。
 山盛りのパスタに缶ビールたった1本半でヒロターズがダウン。遊びすぎ・疲れすぎ。さっさと家に返して私も帰ろうと駅へと走ると……そうだよ、電車のダイヤ乱れてたんだよ。最短10分ほどの電車の道のりで1時間かかりました……。あと一駅のところで30分かかるとは。歩いたほうが早かった。

5/18・北斗の牌
 むっちゃんさんのデスクにイカスアイテム、『北斗の牌』があった。「うわー、いいなー」って一言言ったらくれた。言ってみるもんだ。
 さてこの「北斗の牌」とは何かというと、見ればお分かりの通りこんなの。「ドラえもんはどっこさーしずかちゃんはどっこさー♪」のドンジャラはバンダイ、ポンジャンはアノアァァァァァァァッ! なのでこれは「絵柄合わせゲーム」。
 それでも取説はとりあえず見てみよう。

「サイコロを振り、一番数の多い人が 『覇王』 になります」
「最初の一巡目に取った牌で上がった場合、『覇王』は 『天、我と共に在り!』という役が(後略)」
「宣言するときは、 『退かぬ!』と叫びながら<50アタタッ!>の紙幣を場の中央に置きます。そして 『お前に死兆星は見えるのか?』と呟きながら、牌を横向きにして捨てます」
「山から牌を取らずにまず交換牌を捨て 『その捨てられた牌、俺の心に刻もう!!』と言います」
「役が完成したら 『あたっ!』と叫び、役名があればそれを言いながら自分の手牌をその場で(後略)」
 ……凄く面白そうじゃないか。

ところが役一覧を見てみると、これが疑問の残る出来。
サザンクロス=シン×3、スペード、ダイヤ、クラブ、ハート、ケンシロウ、ユリア。
聖帝十字陵=サウザー×3・ケンシロウ×3・シュウ・ラオウ・トキ  ……この辺はわかる。
南斗最後の将=ユリア・ヒューイ・シュレン・リハク・ジュウザ・フドウ・ケン×3  ……まあまあだ。

しかし、
カサンドラ伝説=ケンシロウ×3、トキ×3、ウイグル、ライガフウガ、アミバ。……アミバ
女人達の想い=ケンシロウ×3、ユリア、マミヤ、アイリ、リン、トヨ(!)、牛ババア(!?)。牛ババアは“女人”じゃないだろ! お前みたいなババアがいるか。

 んで牌のプリントをよく見ると、マニアックなキャラ(カーネルとかリュウガとか)がいる一方、前述のトヨ(バットの「おかあさん!」ね)とか、タキ(バットの弟分ね)、とかバーテン(確かにアニメじゃかなり長い間活躍してた気がする)とか明らかに存在自体がわからんキャラが入ってる。どうやらケンシロウの味方キャラを敵と同数入れたかったみたいなんだが、味方だってシバ(さらばです!)とかコウリュウ(七星抹殺)とかいるだろ。
 ちょっと考えただけでも他に入れるべきキャラはいくらでも思いつく。ヒルカ、破奪剛のボス(にウイグル入れて)で「泰山流」とか、火炎放射器部隊とフォックスで(クラブ入れて)「モヒカン」とか、火闘術とシバと組んで(シュレン入れるとかして)「汚物は消毒だ」とか。他にも親衛隊とか侵攻隊とか先遣隊とか拳王の部下シリーズでもよさげなものが作れそうだ。
 暫く前に「娘。」のドンジャラがローカルルールで話題になったように、古くは「ぎゅわん自己」(最近では「スーパーヅガンアダルト」)のように自分で勝手にルール作るのはお約束であるからして、このゲームも役一覧は参考程度にして「プレイ中に」独自の奥義を模索することで、KENやこまんだーさんとプレイすればきっと面白いのでは無いかと思った。……そのときの来るのが楽しみだ。
 なお、『北斗の牌』はUFOキャッチャーかヤフオクでご入手ください。私も自作牌作るためにもう1、2セットくらい欲しいかも。

 夕方から社内が荒れ模様になったので早めに帰宅してビデオ消化。ケ・セラ・セラ。

5/19・ブレードランナー2
 行きの車内で先日ブックオフで買った『ブレードランナー2 レプリカントの墓標』を読み終える。もう10年近く前の小説であるが、なかなか面白かった。
 ジョニー・デップ主演で少し前に作られた切り裂きジャック映画『フロム・ヘル』という映画がある。普通に観ると奇妙なヤク中映画だが、切り裂きジャックについて少し勉強した者であればかなりニヤニヤできる映画になっている(と思う)。これまで世界各地のフリークたちがジャックについて推察したさまざまな考察やマニアックな事実を数多くシナリオに盛り込んでいるからだ。
 ついに映画化されることの無かったこの小説『ブレードランナー2』も『フロム・ヘル』と同じくディープなファンに向けていると言える。映画の最終版をベースにラストの1年後から始まる物語は、どうやらあまり評価されなかったようだが、ひとつの小説ではなく幻の映画のノベライズとして楽しめばなかなかどうして決して悪い作品ではない。
 さて、冒頭でも述べたが本作の面白いところはそのマニアックなエピソードの取り込みである。アメリカでの公開以来世界中の熱狂的なファンが推察した分析や謎の考察を存分に取り入れ、さらに(テーマ以外はほぼ別物とも言える)ディックの原作『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』のエピソードまで取り込んだ、これはつまり設定マニアの「オタク小説」、つまり今の価値観でいうなら良質の創作小説=SSであると言える。
 本作の物語のスタートからして皮肉だ。生命維持装置という名の棺桶に眠る「眠れる森の美女」状態のレイチェルを見守るデッカードが無理矢理LAに連れ出され、追うはめになった相手は6体目のレプリカントであった。この一見安くも見える設定は、実は映画の冒頭で元上司が言った台詞「6体のアンドロイドが脱走した。1体はタイレル本社で死んだ」……でも倒したレプリカントは4体、という(改稿ミスによる)矛盾した台詞から来ている。
 全編が「映画のあのシーン、あの台詞を改めて考えてみよう」というマニアな指摘が続き、もちろんそこにはディックお約束の虚実の境界線の錯綜が絡んでくるわけだ。そして最終版見ると誰もが思う「で、デッカードって結局レプリカントなの?」から「なんでデッカードにはレプリ一同の顔写真を見せてるのに、最初に撃たれた元相棒のデイブはそれを見せずに社員全員の検査をさせたのか」とかいうマニアツッコミまで大きな謎から重箱の隅の話までいろいろ取り入れてくるのが心地良い。
 ディック原作映画のひとつ、『トータルリコール』の原作該当箇所は冒頭の地球の話の部分だけで(いわゆる『コブラ』の第1話部分ね)、その先の話はすべて映画オリジナル。あれもまさに『追憶売ります2』だったのだが、途中で「これはまだバーチャル世界の中なのよ」と妻に言わせたり、シュワの記憶の最後のどんでん返しの話なんかは安易かもしれないが「ディック的」で個人的にはかなり好きな映画だ。そういう意味で本作の面白さはアレに近いのかもしれない。
 で本作はそれ以外も前作の名シーンをフラッシュバックさせる演出もよくできているし、後半満を持して前作と同じコートに身を包んだときのデッカードの姿は挿絵なんてもちろん無い小説なのにぞくぞくしたし、激しいアクション&バイオレンスもあって、映像を意識した実に映画(の続編)らしい作品である。
 しかし、いくら帯で「映画化決定!」とうたっていようとこの小説を映画化するのは絶望的。ハリソン・フォードはこの映画嫌いと公言してるし、ルトガー・ハウアーはロイ・バティというよりレオン(B・ジェームズの役)な体格になってるし、キュートだったダリル・ハンナはこわいオバハンになったし、ショーン・ヤングは……。
 だからもう5年くらい経って、役者はすべてCGでまかなえるようになったときにCG映画、もしくはインタラクティブゲームか何かで復活しそうな気もしないでもない。

 帰宅してテレビを点けるともみ上げが凛々しいショーン・ビーンがソフィー・マルソーに迫っていた。『アンナ・カレーリナ』だ。カレー煮込みながら、ジェームズ・ボンドを裏切り、旅の仲間を裏切り、ジョン・プレストンを裏切ったショーン・ビーンが今回はいつ裏切ってくれるのか楽しみにして見続けるが、今回はなかなか裏切らない。結局裏切るのを待つまで最後まで観てしまった。最新作の『トロイ』ではどこで裏切っているのだろう。楽しみだ。ちなみにこんな不倫話の主人公なのにソフィー・マルソーが脱がなかったのは裏切られた。
 夜の鉄騎はKENと一緒に組んでプレイしていたのに4試合やってKEN2勝。私は0勝。酷いや!(なんでそうなったのかは直接聞いてください)

5/20
 目の前の多忙なやつとは違うひみつおたのしみプロジェクト打ち合わせのため雨の中外出。地下道直行エレベーターが素敵なムラサキさんところへ。集まった人たちに笑顔でいっぱい仕事を発注。
 普段なら直帰したい時間に打ち合わせは終わったが仕事をいっぱい残しているので戻る。雨はますます酷くなってきた。
 夜、ヤフオク代理出品を任されているもこなさんと駅前でコーヒー一杯分お付き合い、というか売上金の上納。売上金額は既に7万超えていた。ところが銀行が既に閉まっていたので財布に入ってたあり金だけ渡す。一緒に電車で帰るが彼女はダーリンのことで頭がいっぱい。ずっと携帯から目を離さない。
 家に帰って昨日作ったカレーライスにたっぷりチーズを放り込んで夕食。腹いっぱいで眠くなりつつプレイした鉄騎は新ターン開始日。今回のマップは前クールに私が戦死した戦場が含まれていて感慨深いものを感じる。感極まって、ゲーム開始時に敵味方区別無く戦死にはくれぐれも注意してくださいと呼びかけた。
 でもまあ死ぬ奴なんて早々いないよな! ってKENと話していた刹那、その警告を行った次の戦場で、本当に仲間が戦死(Kill In Action)してしまったのである。
 友軍に戦死者が出るのに立ち会ったのはこのゲームをプレイしていて初めて。しかもその光景はまさに私の目の前で行われた。自分が死んだわけでもないのにかなりのショックを受ける。せめて自分にできることをと戦死した仲間をフレンド登録、序盤の苦しさを回避できるようにと自分で出せるだけの香典を彼に渡そうと思い立つが、新たに転生してきたその人は敵軍の所属だった。
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