お盆休みほぼ満喫。映画三昧の日々。

8月上旬の日記日記メニュー

8/11・納会
 まるで打ち切り番組の最終回のような喧騒で2つのプロジェクトが同時に終わりそうな気配。つまり正確には終わってない。でも気分は終了したことにしないと明日からのお盆休みを楽しめません。
 同僚の提案で同じ部のメンバーのうち6人による飲み会を会社の隣の居酒屋で開催。普段はHALO飲み会でのお店探索のほかはゆっきさんやヒロターズといったグルメで名高い人々に誘ってもらうときしか飲みに行くことのない私にとってチェーンの居酒屋に入るのは実に何年ぶりのことなのだろうか。味が濃くて胃のもたれそうな油の安い味付けが大変新鮮。たまに買うスナック菓子の美味さと同じ。たまにはこういうのも良いかもしれない。

8/12・大雨洪水警報
 毎年恒例の実家の海での1泊2日の海水浴。今回もまーくんの提唱で大学時代の友人たちが我が実家に集った。
 いよいよ3年越しで制作している自主映画が完成に近付いたというまーくんにいつものかーつとたま、そして今年のゲストは鬼才・ニヤマ君。
 まーくんとニヤマ君は大学時代、数少ない「映画なら何でも好き」タイプだったので彼らとの会話はいつも弾むし楽しいものだった。今回も全然関係ない話をしていたときのニヤマ君のツッコミ「なんだよそれ! パゾリーニじゃあるまいし」は胸にキュンときた。パゾリーニなんて単語を耳にしたのはもう何年ぶりのことだろうか。
 残念ながら昼から雨と聞いていた本日の天候だったが、実家に集まった時には気候も決して悪くない。これなら夕方少しだけでも泳げるんじゃないかということで、実家から宿泊元の海の近くの貸家に移動する。
 大家さんに挨拶して部屋に入った瞬間、合図したかのように外は大雨が降ってきた。これでは海水浴どころではないと話していたら、それどころか雨は益々勢いを増していき、外のスピーカーから役所のアナウンスまで流れてきた。「ただいま大雨洪水警報が発令されました」
 こうなると逆に笑うしかない。何気なくテレビを点けると、どうやらこの1年の間にテレビのアンテナが折れてしまったのか、テレビは全く映らない。
 雨は降っていても平屋の家には吹き込むこともなく窓からは心地よい風が吹き、エアコンなど必要無い、しかしゲームもパソコンも何にも無い家でみんなでごろごろして過ごす。ああ、この時間のだらしない使い方がなんかお盆休みっぽい。
 陽が暮れる少し前に雨は止んだ。夕立だったみたいだ。みんなで歩いて5分のところにある海岸を見に行くことにした。
 あんな雨の後だから誰もいないかと思ったら、ビキニを着た大柄のグラマラスな女性が海から上がってきた。それはブロンドの外国人女性で、まさに『007ドクター・ノオ』のハニー・ライダーまんまのいでたちと姿。一行全員目を奪われる。カメラを持ってこなかったことを非常に後悔した。
なんたらかんたらまんごー♪
ちなみにこれがハニー・ライダー

 たまとカーツが日帰り、まーくんのパートナー、カツラちゃんがやって来るメンバー交代を経つつ、外はすっかり晴れたので夜は今年もバーべキュー。星すらも顔を出す空に、誰が雨男だったのかを想像。
 深夜には家に場所を移してさらに酒宴。
 酒の肴はニヤマ君のiPodに入っている「空耳アワー」だ。「タモリ倶楽部」のこの部分だけ編集してiPodに山盛りで入っている。なるほどこれが音楽を持ち歩く新しいカタチなんですね。
そらみーみーあーわー

8/13
 天気予報は嬉しいくらい外れて、外は青空。風も穏やか。水も澄んでいる。これ以上ないくらい素晴らしい海水浴日和に泳ぐことができた。
 しかも磯遊びをメインとする我々にとって海は最適な干潮のタイミング。シュノーケリングでいろいろな魚と触れ合う。
 岩場には溢れんばかりのウニがいた。顔を沈めればその視界には必ず数十のウニが岩場に張り付いている。恐らく海全体では数百どころか数千のムラサキウニが大量発生しているに違いない。こんなこと生まれて初めてのことだ。
 どうやら今年は密漁への取締りが厳しいらしく、間違いなくこれはその影響だろう。浅瀬にはその他にも小さいサザエやトコブシがいたので手で剥がして遊ぶ。
 毎年地元で泳いでいるのにこんなに満喫できたのは久々という天候と海の状態に大いに満足して帰宅してきたが、夜は日焼け止めなど物ともしない日差しによる背中の日焼けによって、全身が火照ること火照ること。エアコン付けていても一人熱帯夜状態で、仕方なく『デスノート』を読み進めていると外が明るくなる。

8/14・近所へ買い物
 『スーパーマンリターンズ』の先行を観たフレメンさんの日記に「必ずDVDで2作を復習せねばならない」とのお達し(私の勝手な解釈)があったので、先週発売された2巻パックを買いにサンダル履きで川崎ヨドバシへ出向くも売り切れ。相変わらず(入荷数として)本当に使えない売り場であると思ったが実際どこも似たような状況だったらしくその後新星堂、さくらや、HMV、ツタヤへ行くも全滅。一旦戻った6軒目のヴァージンでやっと確保できた。
 早速1作目『スーパーマン』を観てみるとこれが結構新鮮である。ルーサーが登場した時に小池朝雄の声が浮かんできたのでどうやらTVで観たのも非常に昔のことのようだ。
 『バットマン』以降続いているヒーローの人間的影の部分に多くを語らないことが決して映画を平面的にはしておらず、シンプルでありながら1つ1つのシーンが印象的に描かれていて好感。特にクリストファー・リーブの清潔感のある姿が印象として残る。特にこの映画、DVDではディレクターズカットということで2時間半以上もあるというのに嫌な感じがしない(追加シーンは全部カットしてても良いようなところだったけど)のは彼の存在によるところが大きい。
 この映画ももう28年前の映画ということに年月を感じてゾッとするが、これでも原作の誕生からは随分長い時間を経て、初めて大人が鑑賞できる実写化を目指した映画化というところにその後の映画への多大な影響を感じる。特に「スーパーマン」という名前の登場のさせ方とか、それでも最初にスーパーマンを見た人が「なんてひでえ格好してるんだ」と言うとか、変身しようとしたクラークが、既にボックス化していない公衆電話機をちらりと見て断念とか、ロイスの質問に「Truth,Justice,and American way」と答えるところとか結構ファンサービスのシーンが多いことも小学生の自分に観た私にはわからなかったところである。
 パニック映画ブームの影響と思われるクライマックスの特撮シーンや、中学生の頃はかなりヘビーローテーションして聴いたジョン・ウイリアムズの音楽など懐かしさも感じて思いの外楽しむことができた。(☆☆☆☆)

8/15
 1週間かけてやっと『デスノート』を読み終えた。これで安心して当初の目的である『ヘルシング』8巻の作者あとがきを読むことができる! 思えばここまで遠い道のりだったよ。
 ……で、ヘルシングだけど、あれ? これのことか?
 ところで『デスノート』を「あくまのパスポート」に見立てる人は多いと思うのだけど私は最終巻のリュークみて「ヒョンヒョロ」思い出した人はどうなんでしょう。どっかに素敵な「デスノコラ」ありませんか。

 起動したメッセンジャーのおしりさんの名前メッセージを見て今日が終戦記念日であることを知った。新聞取るのを止めたこともあり、お盆休みになると全く日付の感覚が無くなっている。終戦記念日といえば毎年恒例の花火大会があるんだっけ。
 毎年誘ってくれていたヒロターズは1月から連絡が途絶えたきりなのですっかり忘れていた。今年は自分の力で行かなきゃならない。でも一人で行っても楽しくないしなあ、などと思っていたらすぐに開催時間になってしまったので、ここは割り切ってマンションの廊下のテラスから見てみることにした。
 駅前東口の再開発で全く見えないことも予期していたのだが、高いビルよりもさらに高く上がる花火のおかげでそこそこの鑑賞ができる。家からほとんど出ずに見られるのだからこれはこれで良しとしよう。最初は1人で見ていたのだが、気が付けば同じ階の若夫婦や階下の人が上がってきたりして大人も子供も数人ずつ集まり、みんなでご近所づきあいの談笑をしていたのでこれはこれで結構面白かった。

 ちびちび消化している「DS9」のDVDボックスは第5シーズンでも屈指の作品と言われる、DS9のメインキャストがタイムスリップしてカーク船長のエンタープライズ号に乗り込む話「伝説の時空へ」だった。例えて言うなら『バック・トゥ・ザ・フューチャーPart2』みたいな演出を駆使した回なのだが、それ以上に楽屋オチ的な演出が多く、確かにファンにはたまらない作品だった。
 ところでスポックとマッコイの声優さんが亡くなっているのは残念だが、チャーリーやチェコフはどうしていつもオリジナル声優じゃないんだろう。

 夜は最後にテレビ録画した『妖怪大戦争』を観て、三池監督と自分の趣味が全くもって一致しないことを痛感する。以前ビデオ録画したものの、前半わずか数分で生理的に受け付けず観るのを断念した『カタクリ家の幸福』のことがあったので最初から予想すべきだった。ラストにカタルシスが無いとかいう以前に、復讐劇なのに「復讐はダメ」と言い、戦争ってタイトルに書いてあるのに「戦争もダメ」などと劇中で釘を刺す破綻したシナリオ、子供なら笑えるのかと思いながら馴染めない笑いどころ、スポンサーへの嫌がらせのように意図的に入れているとしか思えない無駄な残虐シーンにエロと、褒めるべきところを見つけることができない。とにかく、タイトルがあの伝説の名作と同じだから、加藤保憲が出てるからという安易な理由で劇場に行かなくて本当に良かった。(☆)

8/16・『デスノート・前編』
藤子不二雄「カイケツ小池さん」より
 というわけで原作も読破したこともあり、その勢いをかって終了間際の『デスノート・前編』を観てきましたよ。例えるならTVシリーズの最終回2時間スペシャル放映に際して、その日の昼にやってる「最終回直前! これまでのおさらいスペシャル」のような映画だった。
 長編漫画を2本とはいえまともに映画化することは不可能。どのように換骨奪胎できるかが映画版であり、それを怪獣映画ばかりとはいえ比較的嫌いではない監督である金子修介がどのように料理してくれるのか、それを観に行ったのがこの映画の期待できるところである。
藤子不二雄「カイケツ小池さん」より
 結論から言うと「雇われ監督の最低限の職人仕事」であった。恐らくだが、最初に(ダメな)脚本があり、次に監督が選ばれて、監督が原作を一通り読んだ上で脚本に沿って映画化しました、という感じ。演出やコンテには原作を尊重する意志は特に感じられない。
 予想をはるかに上回るほど原作の前半をなぞっていた脚本の、最初にあっただろう意図は悪くないと思う。確かに原作12巻のうち最も盛り上がるのは5巻前半(ヨツバの話の前)までだ(調べたわけじゃないけど、そうでしょ?)。だから映画化するならこの辺までをまとめれば良いという着目点は合ってると思うんですよ。でもその後の作業はすべて裏目に出ている気がする。まず主人公のライトを中心にしたあまり、それ以外のもの=登場人物、トリック、進行の扱いがすべて雑になっていたこと。その中にはライバルでありもう一人の主人公であるべき"L"も含まれているのはどうなのよ。彼が何のタメもなく登場して、本当に脇役のひとりにしか見えないのは、別に尺が足りなかったのではなく"L"を演出するべき、原作で「Lすげえ!」と思えるポイントで原作のようなインパクトを映画が与えられていないからだ。これは脚本家だけじゃなくて監督のせいでもある。
 主人公の相手が不在だから(どちらかというと今回はナオミ程度になっているから)対立構造が出来る前に映画が終わってしまって、結果ライト自身もあまりピンと来ない。
藤子不二雄「カイケツ小池さん」より
 同様に原作の売りであっただろう犯罪心理戦は皆無となり、ライト側にも知能犯らしき演出はあまり無い。彼が知恵を使ったと思われるのはポテチのくだりだけで、FBIのあたりは原作と違ってもの凄く浅はかな犯人になっちゃったし。で、結局淡々と物語が進行しちゃうことに。
 残ったのは、原作の雰囲気だけ似せましたというコスプレ的登場人物(ただししぐさなどの演出は抜き)と原作のあらすじの実写化という原作物の最低限の要素だけだった。ただ、原作を知らない観客でもわかるであろうシンプルな映画的な展開は普通の人には優しいのと、「映画として破綻していない」ことと「作り手のやりたいことが『不快』ではない」ところ。最後まで普通。あ、でもリュークは良かったかな?(☆☆)。

 というのは夜に観た映画の話で、昼間はTS録画した『クローサー』(香港映画のほう)を観ていた。
 スー・チー(瞳)とビッキー・チャオ(愛)の美人姉妹VSカレン・モク(泪)という「キャッツ・アイ」風アクション映画。さわやかなお色気(中国映画の範疇)と、顔に似合わず無茶苦茶なカンフーアクション。『少林サッカー』ではチャウ・シンチーにまともな姿で映してもらえなかったビッキーが予想以上にかわいらしいので微笑ましく楽しんだ。(☆☆☆)
藤子不二雄「カイケツ小池さん」より

8/17
 夏休み唯一の登校日を終え、電池を買いにさくらやへ寄ると20%ポイントセールやっていたのでDVDを物色、『殺人の追憶』を衝動買い。dts-ESバージョンだったのが決め手だが、考えてみると韓国映画を買ったのは初めてだ。
 パッケージには「誰もが認めたミステリー最高傑作」というふれ込みだったので、昨日の『デスノート前編』の敵討ちのつもりで選択したのだが、ミステリーとは到底呼べそうも無い映画。
 とはいえ別に映画がダメなわけではない。つくりはとてもしっかりしていて、登場人物や舞台に存在感があり見応えがある。韓国という国にはカケラも興味はないんだけど、30年前の韓国の風景は自分の知る30年前の日本というよりもむしろ親の世代の60年前の日本の風景を思わせて勝手な郷愁を抱かせる。話の流れもスムーズで完成度という点においてここ数日続けてみた邦画は完全に負けてる。
 ただ、相変わらず過度な暴力は笑いよりもむしろ退くのと、パクとかソとか登場人物の名前が全く頭に入らない。(☆☆☆☆)関係ないが主人公の奥さんの下りは『セブン』のパロディか何かなのかと思ってドキドキした。後、駄菓子屋風ゲーセン+定規で画面出る前に『ハイパーオリンピック』ってわかってしまうのは世代的にちょっとときめいた。
 なおdts-ESは実に素晴らしい効果を発揮していたのだが、それよりも凄かったのが鑑賞中に鳴り響いた「雷」。かなりの遠距離なのに映画館のウーハーに匹敵する重低音。頭上から鳴り響くサンダーブレイク。あまりに凄いので、途中映画止めて夜空鑑賞してしまいました。

8/18・『ユナイテッド93』
 目覚めると14時とかいう生活はまずい。まずいよ。
 昼に観たのはDVD『スーパーマンII・冒険編』だった。いかん完全に内容忘れてる。もしかしたら観たのは初めてなのかもしれない。
 『X-MEN』やら何やらでスーパー能力を持った超人たちによる戦闘シーンは散々観てきているわけだが、この映画の時代はもちろんCGを一切使っていない。セットの規模に限られてしまうため、スケールはどうしてもこじんまりしてしまうわけなのだが、それがまた良い味になっている。破壊シーンやアクションシーンそのものよりも巻き添えになる通行人を強調したリアクションによるスケールの出し方は、人物ひとりひとりをはっきり捉えることによる等身大インパクトになっており、今ではすっかり滅びつつある演出になっていてなかなか面白いものであった。
 敵役は3人もいるのにキャラ立ちも特にはっきりしていない。彼らの登場シーンの多くは昔から続く地球に初めてやってきた宇宙人によるカルチャーギャップネタで終始していたりするところもご愛嬌。あのコスチュームは今見てもなんか素敵。(☆☆☆)
 さあ、これで『〜リターンズ』を観るための準備が整いましたよ!

 で夜は『ユナイテッド93』を観に行く。
 グリーングラス監督の前作『ボーン・スプレマシー』が傑作だったのは、ひとえに監督の力量によるところが大きい。普通に撮れば『ボーン・アイデンティティー』レベルの普通のアクション映画になっていただろうに、監督の非凡な撮影技術や演出テクニックが、これまでにない臨場感を生み出して、予告編ではその魅力が全く伝わらない傑作になっていた(3作目もグリーングラスが撮るらしいので大いに期待したい)。
 で今回の『ユナイテッド93』は、そんなグリーングラスが撮る実話ということで最初からある程度の想像が付く。観る前からラストカットまで大体想像が出来、実際観たらまさしくその通りだったのだが、それでもやっぱり傑作だった。
 映画の骨子はテレビ番組でよく見る「再現ドラマ」である。この監督がやるからにはロマンスたっぷりな人物描写などが入るはずは無いし、使われるエピソードのほとんどが実際に遺族や関係者によるインタビューで緻密に構成されているのは間違いない。その辺は序の口なのである。
 実際に素晴らしいのは、誰もがやりそうな過度な演出を本当に排除しながら映画が盛り上がっていくところだ。映像的なインパクトを一切排除し、そこには爆発する貿易センタービルの実写映像をスクリーンいっぱいに映すことや、ハイジャック犯の刃によって命を落とす乗員の死の瞬間などの演出は無い。観客は確かに機内や管制塔やさまざまな場所で起こっている混乱を同時に観るという神の視点で映画を観ているにも関わらず、すべての箇所で誰かの後ろから見る傍観者でしかないこの抜群の臨場感。
 そして感心するのは、これがアメリカ映画であるのにも関わらず、ハイジャック犯についてすら悪役としての演出を完全に排除していることだ。冒頭の静けさの中で聞く犯人によるコーランの詠唱は、それが何を喋っているのかは全くわからないが、そこには心を穏やかにする神聖さすら感じるものだし、ハイジャックの実行のために乗り込み、待機する緊張感は観客がハイジャック犯の恐怖を感じているのではなく、ハイジャック犯自身の気持ちになっていることに他ならない。しまいには墜落の恐怖におびえ神の名を呟く乗客の台詞に重ねて、乗客の反乱におびえるハイジャック犯が語るコーランの言葉を繋げている。この映画の中において、犯人たちですら恐怖に怯える対等の姿を与えられているのだ。
 観てもいないのに言うのもアレだが、オリバー・ストーン監督の新作『ワールドトレードセンター』では、きっと主演のニコラス・ケイジが家族愛を叫びながら迫力あるアクション演技を見せ、"その瞬間"にはスロー演出が多用され、ラストシーンでは涙溢れるメロディーが映画館を包み込むと思われるが、観客が受ける精神的インパクトにおいては『ユナイテッド93』に勝る映画は無いんじゃないか。(☆☆☆☆☆)

8/19・グリーングラス
 しみちょさんの新刊を買いに行ったついでにさくらやでグリーングラス監督の出世作『ブラディ・サンデー』(と『ファイトクラブ』を衝動的に)購入。最近は本当にタイミングよくDVDが気楽に買える値段で販売されるので"追っかけ"も本当に楽になったものだ。その後8spotsの付き合いで青山行って、とんぼ返りして早速観る。
 1972年にあったイギリス軍によるアイルランド市民への発砲・大漁殺戮事件を限りなくドキュメントタッチで撮った作品。つまり『ユナイテッド93』の手法の前作なわけだが、こちらも非常に興味深い映画になっていた。
 全編手持ちカメラ・照明なし・音楽なし。メイキング映像によるとカットは最大30分連続でアクションが続き、役者はアドリブOKになっていることすらあったという。この映画は数千人による市民デモ行進と軍の対立を描くため、スケールもかなりのもので、道を覆いつくす市民はすべてエキストラだったため、演技素人であるアイルランド市民が大漁に加わっているようだ。はっきりいってプロの役者でもこの人数だったら統率なんて早々できるものではない。しかも軍の発砲に逃げ惑う市民なんてシーン、万が一事故を起こしたら本当に死傷者が出そうなものじゃないか。
 そんな状況下にあって、映画の中のリアルさは既に究極の域に達しており、その緊迫感は『ブラックホーク・ダウン』に匹敵する。5.1chのサウンドで聞こえる悲鳴と乾いた銃声がさらに臨場感満点だし。
 なるほどこのリアルさを娯楽映画に取り込んだのが『ボーン・スプレマシー』だったのか。いやいや貴重な経験をさせてもらった。映画観終わって呆然として、暫くしてからその映画の凄さを感じる、そんな感じの映画。(☆☆☆☆☆)

 で、この監督の作品はとりあえず全部チェックしてみたい、と思ったら残り3作のうち2作はDVDになってなくて残り1作の『ヴァージン・フライト』(ラブロマンス!)は入手困難ぽいのね。

8/20
 いよいよ今日は『スーパーマンリターンズ』を観に行こうと思っていたが、観るなら安いレイトショーにするのは常。それまではDVDで時間を潰そうと『Mr.インクレディブル』などを観てみる。これまでずっと劇場鑑賞していたピクサー映画だったがこれは結局行かなかった(『カーズ』も観てない)。
 スーパーヒーローのパロディものかと思ったら『スパイキッズ』を大人向けにしたような映画だった。
 大人向けの話がやりたくてやりたくて、やっとここまで来て大人向けテイストを入れられて制作者は喜んでいるかもしれないが子供はおいてきぼりなシーンが多い感じ。没オープニングとか実際にやってたら子供寝そうだし。
 全般的なテイストも子供のことよりも大きなお友達向けな気もして、完全に子供の視点で見るしかなかった『モンスターズインク』などよりは観ていて楽しいが、これなら別にCGアニメじゃなくても良い気もしないでもない。(☆☆☆)
 なおピクサーに限らずアメリカのCG映画の人間はあまりピンと来ないのだが、この映画の奥さんは結構良い感じ、と思っていたら声がホリー・ハンターだった。
 あと予告に流れていた『女王陛下の007』は残念ながら本編では流れていない。それっぽいが印象はあまりないかな。

 観終えたので、夕飯を早めに食べて映画、と思ったところでゆうちゃんから連絡。これから遊びに来たいという。時刻は6時を過ぎている。彼の家からここまで1時間半はかかるだろう。そんな苦労を押して来てくれるのを止める理由は無いので、映画を中止して駅前のcube barへ飲みに行くことにする。
 生まれて初めての海外旅行でイタリアへ行ってきたゆうちゃんは、わざわざおみやげを私に持って来てくれたのだった。もらったのはハンドクリーム(正確には8spots向けだな)。これは映画『ハンニバル』で、レクターがクラリスを誘い出すためのヒントに送った手紙に付けた匂いの元にしていた店の品だ。500枚以上の記念写真も見せてもらったがスリの血を洗った水の流れる銅像の写真などもあった。こんな観光写真がとてもうらやましいペーパートラベラーの私。
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