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来月からの会社の新組織での自分の居所も不明瞭なまま、宮古島旅行4泊5日の旅の日がやってきた。今はいいのさすべてを捨てて。 午前7時半分断前の羽田空港集合。しかし宮古島といえばユッキえもん。大長編の主人公である彼は空港にはいなかった。 「俺、マイレージが貯まってるから別行動で行くわ」 先日のメシキコ旅行3週間の旅(詳しくは本人のBlog参照)の往復分だけで既に宮古島往復分の飛行機代分が貯まってしまったらしい。正確にはその間にもアメリカ出張してるし、おそるべしユッキえもん、日々大長編。 そんなユッキえもんにとってはもはや宮古島などは大長編どころかせいぜい「大晦日だよユッキえもん」程度のボリュームに違いないかもしれない。しかし宮古は宮古。ユッキえもんにとっても、ユッキえもんの古女房・おしりさんにとっても特別な場所である。素直に一緒に行ける光栄を感じたい。 今年も昨年に続き3人での旅、しかも昨年のように現地で会う人もいない女っ気まったく無しの旅行であるが、前を向いて進もうではないか。 軽量4点のダイビング道具を買い揃えた関係でいつも以上に重くなったバッグを抱え、私はぎりぎりで空港に到着した。おしりさんとはすぐに合流。おしりさんはいつも通り荷物は全部現地のダイビングショップへ送ってあるので楽勝である。 あまり時間が無いのですぐに機内へと急ぐ。出発ロビーを抜け、飛行機まで進む車に乗り込もうとしたとき、鞄の中の携帯が鳴った。『スターラスター』のドッキング音ということはメール着信音である。 「いってらっさい。楽しんできてねー。お気をつけて!」 送信してくれたのは……ゆうちゃんだよ! 野郎だよ! 私がガッカリしているとおしりさんがそれを見てニヤニヤしていた。 飛行機に乗るなり、私にいきなり難関が待ち構えていた。 なんか耳がぎゅーんってするんです。 風邪をひくと「耳抜き」がしづらいとは聞いていたが、まさかダイビング前の飛行機内でそれを実感するとは!(飛行機の離着陸時に鼓膜が痛くなった経験があるという人は、あれです) 私は今までそんなことは一度も無かったのに、今回は痛みを感じるほど。宮古に着いた時はなんか耳が遠い感じ。 那覇で乗り継いで、ともかく宮古空港に到着。 濃密かつ不純物の少ない空気、そして暖かい陽気。これぞ沖縄! ……と言いたいところなのだが、なんか暖かくないよ。いつものように汗がじわっと出てこない。天気は曇りがちな晴れ。宮古も秋の到来なのでした。 着いたのは正午だったが、すでにダイビングのボートは出てしまっているので今日は泳ぐことができない。ユッキえもんの夕方到着までのんびりする日となる。 「台風のせいでずーっと風が強くてね。今日みたいに風も無く穏やかな天気になったのはほんの3日前くらいからだよ」 ホテルに向かうタクシーの中で運ちゃんにそんな話を聞き、これはこれで最善と思うことにする。例年10月頭に来ているところを10月末になってしまったのはユッキえもんだけでなく私の仕事の都合のせいでもあるのだが、いつもの時期に来ていたら台風直撃で観光どころではなかった。 今年の宿泊先は、一昨年ヒロターズや8spotsたちと来た時と同じホテル「セイルイン宮古島」である。 久しぶりの平良市街を歩く。昼御飯はまだおしりさんが行ったことのないという店、「波止場食堂」にする。私が初めて宮古島に来たときに8spotsとヒロターズと3人で入ったお店だ。ホテルから歩いて10分。しかし店は閉まっていた。しかもどちらかというと「閉店」してしまった雰囲気である。あの美味いトーフチャンプルーも飲み放題のアイスコーヒーも飲めないのか! ちょっと涙が出てくる。 (ちなみに後日「海塾」のまゆさんに聞いたところによると、決して店は繁盛していなかったわけではないのだが、店のおばさんが一言「疲れた」と言って閉めてしまったとのこと。地元民にとってもかなりショックだった模様) 仕方ないので商店街の方へ戻り、夜はイセエビ料理で賑わう「のむら」に入る。親戚の子供と思われる小学生低学年くらいの少年が店の隅にあったピアノで弾く現代音楽を聴きながらゴーヤチャンプルー定食。ああ家庭の味。宮古の味。何でもないのに美味い。これですよこれ。 その後、宮古に来た時は恒例、「ユニークショップはまもと」でソフトクリームを食べに行くことにする。 毎年愛してきた"はまもと"のソフトクリームの機械が故障中なのでした。仕方なくアイスクリームを食べるおしりさんと私。 アイスを堪能してから、おしりさんはレンタサイクルで島を散歩してくることになった。 私はというと……ホテルで寝てました。 「風邪はダイビングに大敵です。こじれるようなことをするくらいなら頑張って治したほうがいいですよ」 おしりさんの話は脅かしでは無い。行きの飛行機の痛みを警告と受け取り、素直に休むのが一番ということにする。宮古島まで来てすることは寝ることなのかよ! と無念の気持ちも半分ではあったが昨夜は準備のために3時間位しか寝てないので、ベッドに入ってからはすやすやと寝る。 18時頃ユッキえもんが到着した。ユッキえもんのお天気スタンドの威力は今回も健在。"大竜巻"も"払いの手"で避けてしまうわけだ。おしりさんも錆びたママチャリ十数キロの旅を終えて戻ってきていた。ではさっそく夕飯だー。 宮古初日の店はおしりさんが友人に教わっておいたという創作料理の店・西里家。値段は宮古的には高めだったものの、出てくる料理はすべて絶品、初日の夕飯としては抜群であった。魚が美味い。肉が美味い。野菜も美味い。もずくも海ぶどうも美味い。 最後に頼んだ「島バナナの天ぷらとアイスクリーム」が死ぬほど美味かったので二度目の"はまもと"訪問はせずに済みました。 18時半から20時半まで食べて21時に良い子は3人共就寝。既に昼に3時間くらい寝てた私もすぐに爆睡。これぞああ大長編。 |
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10時間以上の睡眠を経て、明けた2日目。天気はまあまあ。 今年もダイビングサービス「海塾」にお世話になります。ホテルに車がお迎え。荷物を持ってレッツゴー。 新たな愛犬・ラスタ(1歳)を加え、マサさんとまゆさんの2人で仕切る海塾での3日間が始まった。 高速クルーザーに乗って30分。下地島沿岸へ進む船の風切る空気がいつになく肌寒い。負けそう。 でも装備は万全。おニューの度付きメガネ、おニューのグローブ、おニューのシューズ、おニューのフィン、ピカピカの16本目の13ヶ月ぶりの潜行。 おニュー装備での管理人近影 しかし案の定耳抜きがうまくできず、あまりまともな泳ぎは出来ず。ユッキえもんとおしりさんがさくさくとアントニオガウディーの待つ穴へ潜っていく中、私だけがその前でぶくぶくしていた。無念。 水から上がるとマサさんが「顔洗ったほうがいいよ」との指摘。耳抜きに失敗した者特有の現象=鼻血が出ていたのだ。がーん、なんか3年目にしてもう一度初心者気分。 耳抜きが不安なおかげで2本目のミニ通り池ではひとり浮上せず。でもバレーボールほどの大きさに膨らんだヒトヅラハリセンボンと戯れたり(膨らむと泳ぐスピードが断然落ちるので手を離してもすぐ捕まえられるほどなのだ)、隠れまくりのシャコを追いかけたりとそれなりに満足。 3本目はなるほど・ザ・ケイブ(いや本当にそういう名前の場所なんだって)。今回は一転、両手にボンボンを付けたチアガールなカニ、キンチャクガニを始めとした指先に乗るほどの小さな生物を楽しむ。 ……なんでそんなに楽しそうに紹介するのに写真ないのかって? ダイビング用のカメラ持ってないもの! 総計35万オーバーの資産をつぎ込んだユッキえもんのサイトの更新をお待ちください。 なお3本目、18本目にして深度29.6mを記録。いつの間に……。 2日目の夜は毎年必ず行くことになっている店・中山。ここに来る度、おしりさんが「8spotsさんが寝てるのに料理来るとやだよさんが起こして、でも寝ながら食べていた」と思い出話をしてくれる。 「今日は魚! 魚食おう」 と見慣れたメニューから目に付く料理を頼むユッキえもん。 「よしよし、どんどん頼もう」 と相槌を打つ"七郎次"役のおしりさん。ただ見守るだけの私。 刺身の盛り合わせを始め、一通りの注文を終えてからおしりさんが言う。 「あっ、鍋頼もうと思っていたのに忘れた!」 宮古も秋。鍋料理が始まっていたのだ。 「結構頼まなかったか? これ3人前って書いてあるけど」 「いや、食うだろ。頼もう。誰も食べなければ私が全部食べます」 ビール到着時に追加で鍋を注文。心配そうな店員のことなど気に止めることもなし。 程なくして刺身の盛り合わせが届く。日曜でもこの店は独自に船を出しているそうで鮮度も問題なし。がつがつ食べていると、珍しくユッキえもんが店にデジカメを持ってきているのにおしりさんが気づいた。 「Blog用に料理の写真を撮ろうと思ってさ」 確かにメキシコ旅行のときにもたまに料理の写真が入っていたっけ。……しかしもう食べちゃってますよ? 「そうだ、写真撮るの忘れてたよ。よし早速撮ろう」 半分ほど平らげた皿の写真を撮るユッキえもん。 間もなく次の料理のゴーヤチャンプルーが届く。 「うお! これも美味そう!」 みんなで一口ずつ食べたところで、ユッキえもんにおしりさんが言う。 「写真撮らなくていいんですか?」 「おう、そうだったそうだった」 次に届いたのは餃子だった。 「ここの餃子が美味いんだよねー」 箸を付けるユッキえもんに私が「写真は……」と呟く。 慌てて箸を止め、カメラを取り出すユッキえもんの前でおしりさんが私に言った。 「言うのがちょっと早すぎます。せめて一口は食べてから言わないと」 次の料理ではそうさせていただきました。ニヤニヤする私とおしりさんであった。 私が完全にお腹いっぱいになった頃、最後に海鮮鍋は到着した。 流石にお腹いっぱいだからとホテルに帰るユッキえもんと別れ、おしりさんと2人でまたしても町の反対側にある"ユニークショップはまもと"まで出向いてアイスを食べる30代の男2人。 ホテルに戻ると21時だった。しかし今日はすぐには寝られない。22時からの『新選組!』を観るのだ。平助の最期を観ずに寝られるか! 『逆転裁判3』をプレイしながら1時間過ごし、藤堂平助の見事な討ち死にを何とか当日に観ることができた。思いの外、伊東甲子太郎の最期もよく演出されていた。家に帰ったら金曜の再放送をDVDに録画しようと思いつつ今日のところは就寝。 |
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旅行3日目。ダイビング2日目。今日は月曜日だから世間ではサラリーマンの皆さんは働いているのだろう。でも我々はこうして宮古島でのんびり趣味の時間を過ごしている。なんたる幸せだ。 そして今日はよく晴れてくれた。お天気スタンド大活躍中である。 「ユッキちゃんすてきー!」 と叫ぶエセしずかちゃんは今回の旅でも不在につき私が黄色い声をあげてみるが本人には聞こえてないようだ。 今日潜った場所は通り池、カスミのドロップ、ハチの巣ホール。 "カスミのドロップ"では体長1.5mはあろうかというロウニンアジ3匹と遭遇する。まるでロボットの腕のような2つのストロボと巨大な魚眼レンズを装備した防水防圧デジカメを抱え、魚たちが泳ぐドロップの谷間へ飛び込んでいくユッキえもん。 (♪ちゃっちゃか・ちゃっちゃ・ちゃーちゃーちゃー)すいちゅーかめらぁー イソギンチャクに接近していたため、こちらを睨みつける親のカクレクマノミと1分ほどにらめっこ。向こうは真剣だがこちらはひたすら癒される。魚を正面から見るというのは新鮮。 ここで一旦昼御飯。「炭水化物ダイエット」ということでご飯とパンと麺類とビール"だけ"を食べない食事療法をとっているユッキえもんは、昼御飯におにぎりを買って、ご飯の間のポークだけを齧っていた。おしりさんが「その食べ方はおかしい!」と力説している。大体ビールは毎晩飲んでるし。 食後は最後の1本。最初の2本は深度27〜28mのかなり深いところを進んだこともあって(をい)、3本目のハチの巣ホールは最深でも13mという浅い海だったが、気がつけば潜水時間が1時間オーバーとなっていた。 「初心者なのに1時間も空気が持つとはなかなかですよ」 とおしりさんが言ってくれるが、みんな「1時間越えてるよー。あっはっは」と自虐気味なのできっと体にはよくないのだろう。 3日目の夜は去年2度も足を運んだ(sakaiさんらがへんなおどりを踊ったりもした)郷家。三味線の生演奏付き(ただし40分間くらいだったけど)。ここも料理は最高なのだが、ユッキえもんは昨日と違ってデジカメを持ってきていない。 「あ、慌てて出てきたので忘れた」 既に食い気が上回ってしまった。 郷家では特にまかない料理のような人参の炒め物、ニンジンシリシリーが最高である。今年もばっちり堪能。ああ日記にこの名前を書き込んでいるそばからあの味を思い出して涎が出てくるよ。 他にも島豆腐が絶品で、特に奴が美味い。後は宮古牛のサーロイン炙り焼きなんかも頼んだりして、皿が来ると1分で中身が消えるという状態が続く。 ただしグルクンの天ぷらはイマイチらしく、この2人の前に置かれているのに一向に減らない。 「ブダイとか、そもそも俺はあまり美味いとは思わないんだよな」 と泡盛のグラスをかたむけながらユッキえもんはつぶやいた。 私が完全に腹いっぱいになったところでおしりさんが「炭水化物とらなきゃ」と言って雑炊を頼んでいた。郷家は中山ほどではないが食べまくっても安価なのもよさげなところ。 最後に今日は3人で仲良く"ユニークショップはまもと"のアイスを食べてホテルへ。 |
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ダイビング最終日となる旅行4日目は若干曇りがちであったが、今日は前2日と違い、我々以外のお客さんがきていた。神奈川から来ている専門学校生のリョウコちゃんである。 そういえば今年はオフシーズンということもあり、貸切状態が続いていた。 彼女は下田でライセンスを取得してまだ間もないという新人ダイバー。人見知りしない性格で、すぐにみんなと打ち解ける。 ダイビング最終日の1本目は中の島チャネルを無難にクリア。毎回1本目は耳抜きに苦労していたが今回はスムーズだぞ、と思いきやリョウコちゃんはずんずん海底へ。……私よりお上手でした。泳ぎも……酸素減少率も。 おしりさんは今年も冴えた素潜りを見せてくれる。フィンだけを駆使して15mほど海底にある裂け目を易々と潜って行ってなかなか戻ってこない。(その活躍は昨年の日記参照。さらにゆっきさんのサイト「ちゃんぷるー」ではその動画が期間限定で見られます)。素潜り中のおしりさんの真横をタンクを背負ったダイバーたちが通っていく様を海上から見ているのは実に奇妙な光景である。これで窒素抜けるのだろうか。 さて。2本目の潜水に備え、後ろの甲板に出て皆でウェットスーツを着ていたときのこと。中でウェットを着ていたリョウコさんが手を降って私を呼ぶ。 「ちょっとちょっと」 「ちょっと?」 彼女は防寒のためにラッシュウェアを水着の上から着ているところだったのだが、体が濡れていてうまく着れないらしい。胸の下のところで服が止まっている。 「はいはい、これを下に落としてあげればいいのね」 まくれたウェアを戻してあげると、それを見ていた海塾の人たちやおしりさんたちがあっけにとられた目でこっちを見ていた。おしりさんが呟く。 「今、『ちょっとちょっと』って呼んでましたよね?」 私は答えた。 「私はいつだってこういう役目です。……なんかそういうオーラ出てるんですかね?」 皆の頭に2年前の最終日の思い出が脳裏をよぎる。 後ろでウェットを着終えた彼女が笑顔できょとんとしていた。 さて2本目はサンゴホール。 「明日は飛行機に乗るわけですし、今日は軽めで行きましょう」 と来る時リーダーのマサさんは言っていたはずなのだが、さっきの1本目は潜水時間1時間オーバー。この2本目ではついに自己最深の深度31.7mを記録。いいんだろうか。 その後の休憩時間のこと。あんまりにも熱心におしりさん&ユッキえもんが素潜りしていたからだろうか。ついにリョウコちゃんもやってきて教えて欲しいという。 おしりさんらが簡単にコツを教えると、あっさり彼女は素潜りをマスター。7mほど下の海底をタッチしていた。若い子ってのは覚えるの早すぎだよ! カメラを向けるとVサインが飛び出す。 今年最後となる3本目はツインケーブとなった。2つの洞窟は真っ暗でライトが頼り。そんな中で大きなクロテナマコやらオオアカホシサンゴガニなどを堪能し最後の54分間のダイブが終了。耳の痛みも限界だったし、今年も大いに満足できる1日3ダイブの3日間であった。 ……しかし実のところ私は結局3日間毎3本、すべて浮上時に鼻血出していた。皆さん! 風邪のときは潜っちゃダメです! ウェットスーツを脱ぎ捨て甲板に立つと、西の空には祈りを捧げたくなるような光と大空が僕らを出迎えた。 リョウコちゃんがウェットの足が抜けないらしく、横にいたおしりさんやユッキえもんに助けを求めていたのだ。 ・ ・ ・ 戦い終わって海塾のお二人と今日の主役に別れを告げホテルへ戻る。 琉球銀行でお金を下ろすユッキえもんに付き合うと見慣れなくもないスーパーロボットと目が合った。 最後の宮古での夕食は、まず海塾の人たちオススメの串屋。ただこちらは宮崎牛の串焼き屋だったため 「東京でも食えるしなあ」(ユッキえもん談)といまいち最後というには宮古っぽくない。 「俺は今日は肉が死ぬほど食いたいんだ!」 とダイエット中のユッキえもんは大きな声で呟いた。 というわけで最後はやっぱり宮古のものが食べたいと串屋チェーン6店舗目、炙り屋へハシゴ。こちらは焼肉屋。 これがユッキえもんだけでなく、おしりさんまでが泣いて喜ぶほどの美味。大正解。どの位美味かったかというとカルビをロースと間違えてたくらい。最後に来た特上ロースに至っては、おしりさんが 「これ、私は生で食いたいんですがいいですか」 とそのまま口に運んだくらい(本当に美味かったらしい)。 2人は後で 「特上ロースであんなに美味かったのならその上のランクであるところの『炙り屋ロース』とは一体どんな夢を見せてくれるのだろうか!?」 と、まるで『新・宝島』を手にした才野と満賀のような輝きに満ちた顔で興奮していた。 次回宮古島に来る時の夕飯は「炙り屋の『炙り屋ロース』」で決定である。 炙り屋はホテルの目の前にあったのだが、それでも私とおしりさんは遠く"ユニークショップはまもと"まで出向き、今年最後のアイスを食べる。そしてホテルのテレビで『ダーティハリー2』観ながら最後の夜が終わった。 はずなのだが、夜中の0時に種から電話がかかってくる。かなりどうでもいい用件だったので、せっかくなので話を伸ばしてやる。電話代請求のときどうなってるかが楽しみだ。 |
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というわけで2004年の宮古島日記もこれが最後。 今回初めて3人で顔を合わせて朝食を食べながら今日の予定を立てる。今日は昼の便で沖縄本島へ向かい観光をした後、夜の便で東京へ帰るのである。 最初に牧志の公設市場で昼食を取ってから私は首里城見物、ユッキえもんは温泉で体を癒すことになった。そして最後にもう一度集まって夕食して空港へ。那覇に明るくない私のためにおしりさんは私に付き合ってくれるという。ユッキえもんは私たちより1時間早い便で向かうので現地で再会予定である。 私の午前中はおみやげを買うことで費やされる。会社の人に行き先も言ってないのでいらないというユッキえもんと違い、私は仕事のメールでつい行き先を漏らしてしまい、結果としてお土産が鞄にいっぱいという状態になった。 私がお土産屋を散策しているとおしりさんがふらっとやってきた。 「やだよさんはいつも、本当にたくさんおみやげを買いますねえ」 と感心とも呆れともとれる(多分両方)コメントを残し、沖縄限定のパイナップル味ペコちゃんキャンデーの詰め合わせを1つ手に取ると去っていった。 おしりさんの会社では明日、皆がペコちゃんキャンデーを舐めているのだろう。いい大人がみんなして口から白いスティックを出している様を想像すると妙に可笑しくなる。さすがはおしりさん。センス抜群。 チェックアウトからフライトまでの残り時間はホテル前の喫茶店でまったりとした過ごす。 空港に向かうタクシーでは運転手のおじさんが料金メーターを倒し忘れるという宮古らしいのんきなハプニングもありつつ、沖縄本島へ向かう。宮古空港で、最後にソフトクリーム(バニラ&紅いもミックス)を入手。昨年はおしりさんだけが食べていたが今日は私だけが食べる。 公設市場ではまず1階の魚河岸で好きなものを購入し、2階の店で調理してもらうのだ。 「ゾウリエビ! ゾウリエビ!」 ユッキえもんが興奮している。 昨年のヒット、ゾウリエビを食べるために2人はここに来たとしか言いようが無い。あまりメジャーなエビではないので(その代わり安い)売っている店を見つけるのは苦労するかと思われたが、いきなり呼び止められた1軒目でいきなり遭遇。観光名所なだけに「ゾウリエビ? これかな?」とか言って値段が3倍くらいするセミエビを売りつけようとされたりしたが、その辺はよく知ってるこの2人にかかってはバッチリである。 その他、ミーバイやら何やらをいくつか買う。店員さんが勧める大きなカニをユッキえもんは興味ない様子だったが、横からおしりさんが「俺が食うから買いましょう」と口添えし、数匹の魚とカニが大きなザルによそわれた。 それではお金を払ってエスカレーターで2階へレッツゴー。 「デジカメ、持って来てないんですね」 というおしりさんの台詞も既にユッキえもんは「ん。」と流す。既にやってくる料理を待ち構えている様子なのだ。 海産物が全般的に苦手な私にとってはあまり食べるもののない市場での食事だが、最初に出たソーメンチャンプルーは凄い勢いで無くなった。炭水化物でもユッキえもんの好物、目の前に置かれてしまっては食うしかないらしい。 間もなく昨年のチャンピオン、ゾウリエビの刺身がやってきた。 ユッキえもんは「まだ生きてる」と言いながらエビの頭を小突くとエビの瞳が出たり引っ込んだりしていた。ああ人間は強い。 間もなくカシラは味噌汁のダシになるため店員が回収。エビさん、最期まですまない。 念願のゾウリエビを食したユッキえもんであるが、その表情は決して満足そうではなかった。おしりさんもだ。 「悪くはないけど……去年のほうが美味かったな」 「去年と来た時期が1ヶ月違いますからね。季節が違うのでしょう。やはり旬には旬のものを食べるのがいいということですよ」 と言っている間にゾウリエビはあっという間に無くなり、その後も続々と料理がやってくる。 ユッキえもんの喜びようといったらもうハンパではなく、おしりさんが一切れ食べる間に3切れは食べている。カニなので身をとるのに凄く苦労があるはずなのに! 「私の3倍のスピードです。シャア専用ですよ」 とおしりさんが舌を巻く。ユッキえもんを見ると 「俺はもうこの手はどうなってもいいのだ」 といいながら両手の指をこぼれ落ちる汁でベトベトにしながら、手にしたカニの身を口でこそぎ落とすユッキえもん。 「このカニみそが もう最高なんだよ!」 といいながら今度は皿に滴った汁をスプーンで救うと、手に持ったカニの甲羅に注ぎ込み、それをお猪口で酒を飲むようにずずずっと音を立てて啜る。 ユッキえもん側にある半分のカニが消え去った後も 「いや、俺もう食っちゃおうかと思ったけど、それもさすがに悪いと思ったんで残しておくよ」 と最後まで名残惜しそうなコメントを発するユッキえもん。残っていた唐揚げにカニの汁をかけて食べていた。 カニを購入するユッキえもんの目は本当に嬉しそうに輝いていた。 市場の前でユッキえもんと別れ、私とおしりさんは首里城へ向かうことにする。その前に、おしりさんが言う。 「以前ユッキえもんが買い物していた、ヘンな柄のTシャツを売っているお店がありますので、首里城へ行く前にそこへ寄りましょう」 私とユッキえもんがヘンなTシャツコレクターなのを、おしりさんは何も言わなくても見て知っていた。 国際通りの外れにあったその店、HABUBOXは若い子でいっぱい。軍用ヘリが校舎にぶつかりそうに接近してる図柄とか、確かにヘンなTシャツがいっぱい売っていた。しかし私としてはおしゃれ系入っている気取ったデザインよりも、どちらかというとアジアのいかしたTシャツ系が好みなため、ときめくものはそれほど多くない。 その旨をおしりさんに話すと 「私には"ヘンなTシャツ"というカテゴリがあるだけで、その先の区別はつきません」 と、常人として至極まっとうな返事をした。 とかいいつつなんだかんだで結構Tシャツ屋で時間を使ってしまったので、首里城見学をするには多少急ぐべき時間になりつつある。とりあえず元来た道を戻る2人。せっかくなので道を渡って反対側の歩道を歩く。 そこでとても興味深い入口の土産物屋を発見、思わず足を止める。 ついついあれもこれも、と気が付けば6枚ほど買っていた。 既にユッキえもんとの集合時間の1時間前を切ってしまっている。首里城見物はもう止めです。首里城へ行かず、守礼堂見物となってしまった。 会員になると割引があるとのことでその会員証を作ってもらっている間、店内の休憩場所みたいなところでお茶を出されて待っている。そこへ隣りの店で待っていてくれたおしりさんが泡盛を持って現れた。隣りで買って来たらしい。 おしりさんとお茶を飲んで待っていると店員さんが「お酒もありますけど飲みます?」と言う。変わった店だ。横にいたおしりさんが即答する。 「もらいます」 30度と46度の泡盛を利き酒したおしりさんは3分後、30度のほうの泡盛をまんまと購入していた。 「自分用のお土産がどんどん増えてしまいます」 おしりさんは泡盛の瓶を2つ抱えて嬉しそうである。我々は残った時間までふらふらと那覇市街を歩き、時間になってからタクシーに乗車。夕食は街外れのステーキハウス街にあるステーキハウス88。沖縄でも有名なステーキ屋でおしりさんのお気に入りらしい。 店の前で待つとすぐに苦しい顔をしたユッキえもんが手にマングローブガニを持って現れた。 「すまん、俺もうお腹いっぱい」 ユッキえもんの口から発する言葉とは思えないコメントにおしりさんと私は驚きを隠せない。食欲魔神のあのユッキえもんが!? 「俺もうこのまま空港行ってもいいんだけど……」 ユッキえもんは私に同意を求めようとするが、私は昼の公設市場であまり食べてないので、もう少し何か食べておきたいところだった。 「いや、ここまで来たのですから入りましょう。ユッキえもんはコーラでも飲んでいてください」 おしりさんは強引にユッキえもんを連れて店内へ入った。 ユッキえもんはコーラとアイスクリーム、私はBランチ、おしりさんはTボーンステーキを注文。なおBランチというのは大きなビーフカツレツ、ビーフハンバーグにハム、それにサラダとライス、スープまでついて473円という恐ろしいメニューだ。 ユッキえもんがコーラを飲んでいるところに私のところにランチが届き、最後におしりさんのステーキが届く。このステーキの巨大なこと! 「あれだけ食っていてよくまだそれが食えるな!」 と言っていた。公設市場の料理はほとんどユッキえもんが食べていたんだと後で納得する。 膨れた腹で店を出ると目の前にタクシー。すべてのイベントを終えたことを3人で確認し那覇空港へと向かう。 まだ6時過ぎだというのに外はもう真っ暗。那覇の街のネオンが目にまぶしい。 高架道路をタクシーが進んでいくと、窓の向こうに空港らしき影が見えてきた。丁度そのときラジオから悲しげな女性の歌声が聴こえてきて、いよいよこの長旅を終えようとする私の今の気持ちをセンチメンタルにさせる。 沖縄民謡かな……それにしては聞き覚えがあるような無いような……。 「さよーならー……つまーびくー」 ・ ・ ・ これ、ガンダムSEEDの挿入歌(暁の車)じゃん。 最後もユッキえもんとは別の便。窓から真っ暗な沖縄の島を眺めながら、着席後素早く眠りにつくおしりさん。来年もきっとここへやってくるぞと心に誓う私なのであった。 きっと来年に"つづく" |
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(これは昨年、一昨年に引き続き、おしりさんが当サイトのBBSに書いてくれた日記の転載です。おしりさんありがとうございました。なお日記にコピーしたときの関係で半角が全角になってAAが大幅に劣化していますのでご了承ください。本物はこちらで読めますのでなるべくリンク先をチェックしてください) |